2020-06-03 (Wed)
和歌山大学 災害科学・レジリエンス共創センターでは、近畿地方整備局との連携協定に基づき、大規模土砂災害対策研究開発機構の取り組みの一環として、LoRaWANを使った安価な防災 / 減災情報収集システムの開発を行ってきました。
今回、森礼子和歌山県議会副議長と和歌山市西山東地区連合自治会からの強い要請に基づき、和歌山県、ならびに和歌山市からのご承認もいただき、3台の水位計を設置することになりました。データ受信に関しては共同研究を実施している和歌山信愛女子短期大学に設置された基地局を利用しています。

図 1 左 設置するLoRaWAN利用水位計 右 データ閲覧画面

図 2 LoRaWAN IoTシステム 地上のみならず衛星経由でも受信可能
LoRaWANはいわゆるLPWAN(Low-Power Wide-Area Network)(低消費電力で広域をカバーする無線通信方式)の一種で、国内でも技術適合認証を受けて利用が始まっています。LoRaWANでは100mWの出力(単三電池2本で10分に1回データ送信で半年以上出力可能な程度の電力)で、地表では数km、上空は低軌道周回衛星軌道(数百km)まで通信可能です(図2)。和歌山大学では大規模土砂災害対策研究開発機構の取り組みの一環として、近畿地方整備局紀伊山地砂防事務所とも協力し、2014年より本通信方法を使った防災 / 減災情報を収集するシステムに関する研究開発を、紀伊半島栗平地区や那智勝浦地区で行っています。
また既に昨年8月11日より、御坊市丸山区自主防災会の依頼にて地域を流れる斎川にLoRaWANを使った水位計を設置。御坊駅前のホテルグリーンヒルの御協力を得て受信機を設置し、運用を行ってきました(図3)。

図 3 斎川に設置済の水位計
今回、森礼子和歌山県議会副議長の御仲介により、内水災害が特に心配される西山東地区の連合自治会から和田川・前代川への複数個の水位計の設置を依頼され、今後設置が進むと思われるこれら自助 / 共助型の水位計システムとして、実証実験の実施を行う事を決めました。設置費用は全体で数十万円以下と格安で、運用費用はほぼ無料(和歌山信愛女子短期大学のインターネット回線を使ってショートメール程度のデータを送る費用だけ)です。また太陽電池内蔵で、数年にわたりメンテナンスフリーで稼働が可能と考えられています。
同様の取り組みは全国各地でも始まっていますが、設置費用(今回のシステムでは数十万円)の工面や、設置申請の進め方など、多くの課題を抱えています。そこで今回は先行事例として、設置に当たって和歌山県・和歌山市の御協力も戴きながら設置運用を進めおり、今後はモデルケースとして全国各地に紹介を行っていく予定です。また和歌山大学では和歌山信愛女子短期大学と協力し、これら住民設置型の水位計による自助・共助型の防災 / 減災活動の在り方に関しても今後、共同研究を進めて行く予定です。

図 4 西山東地区での水位計設置予定
<今後の設置予定>
西山東地区では今後、前代川(和田川合流地区)や吉札排水ポンプ場近くでの水位計設置を予定しています。水位データは地域住民がWEB等で閲覧可能であり、また住民が設定した警戒水位を超えた場合には、LINEやメールにて通知を受けることが出来ます。

図 5 和歌山市内でのLoRaWAN受信局の設置状況と通信状況
右上は信愛女子短大での設置箇所。左下は国内で唯一試験導入されている、欧州LACUNAスペース社のLoRaWAN通信用リレー。今春以降から本格的に運用を開始予定。
また和歌山市内でのLoRaWAN受信局の設置も栄谷地区(和歌山大学)、加太地区(和歌山大学)、民間企業(株式会社BEE、和歌山エコライフ株式会社)にて、さらに御坊市の民間企業(ホテルグリーンヒル)、印南町の民間企業(株式会社石橋)でも進められており、特に和歌山市加太地区では海水温情報の取得や漂着ゴミの調査、イノシシ罠の監視などへの利用計画も進んでいます。

<和歌山大での展示室>
LoRaWANに関しては、和歌山大学の常設展示室でも御視察頂けます
研究についてのお問い合わせ先】
国立大学法人和歌山大学災害科学・レジリエンス共創センター
TEL 073-457-8505 mobile 090-8177-3076 (担当教員:秋山演亮)
FAX 073-457-8535 e-mail akiyama@wakayama-u.ac.jp

*NHKのテレビニュース取材で水位計の説明をする秋山教授

↓↓↓↓↓
NHKニュース: 住民が手軽に扱える水位計設置
*補足資料
The Things Conference2020参加レポートは、アールエスコンポーネンツ社ユーザーサイト DesignSparkで投稿させていただきました。 ご参考まで。

世界最大のLoRaWANカンファレンス「The Things Conference 2020」レポート(前編)
↓↓↓↓↓↓
https://www.rs-online.com/designspark/thethingsconference2020-jp
世界最大のLoRaWANカンファレンス「The Things Conference 2020」レポート(後編)
↓↓↓↓↓↓
https://www.rs-online.com/designspark/the-things-conference-2020-2-jp
*The Things Conference 2020 After Movie
以上
右下の字幕オプションで日本語を選択してご覧ください!
■The Things Network - LoRaWANをみんなでシェアして使う 新刊本好評発売中!

Johan Stokking (左 The Things Network TECH LEAD=CTO)とWienke Geizeman (右 The Things Network CEO)

*工学社新刊本リンク先
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
https://www.kohgakusha.co.jp/books/detail/978-4-7775-2043-5
*The Things Network販促カタログ
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
http://www.crijapan.jp/TTN_catalog.pdf
■Dragino LoRaWAN Gateway & Sensor Node



Dragino LoRaWAN商品の詳細は下記までお問い合わせください。
◆お問い合わせページ
↓↓↓↓↓↓↓
http://www.crijapan.jp/index.php/ja/contact-2.html

◆詳細はこちらから....
↓↓↓↓↓↓↓
https://www.thethingsnetwork.org/country/japan/
Amazon社AWS部門ソリューションアーキテクト・ディレクターMatt YanchyshynによるThe Things NetworkのB2B版であるThe Things Industriesの現地取材によるユースケースレポートです。

The Things Industriesサイトはこちらから....
↓↓↓↓↓↓↓↓
https://www.thethingsindustries.com

今回、森礼子和歌山県議会副議長と和歌山市西山東地区連合自治会からの強い要請に基づき、和歌山県、ならびに和歌山市からのご承認もいただき、3台の水位計を設置することになりました。データ受信に関しては共同研究を実施している和歌山信愛女子短期大学に設置された基地局を利用しています。

図 1 左 設置するLoRaWAN利用水位計 右 データ閲覧画面

図 2 LoRaWAN IoTシステム 地上のみならず衛星経由でも受信可能
LoRaWANはいわゆるLPWAN(Low-Power Wide-Area Network)(低消費電力で広域をカバーする無線通信方式)の一種で、国内でも技術適合認証を受けて利用が始まっています。LoRaWANでは100mWの出力(単三電池2本で10分に1回データ送信で半年以上出力可能な程度の電力)で、地表では数km、上空は低軌道周回衛星軌道(数百km)まで通信可能です(図2)。和歌山大学では大規模土砂災害対策研究開発機構の取り組みの一環として、近畿地方整備局紀伊山地砂防事務所とも協力し、2014年より本通信方法を使った防災 / 減災情報を収集するシステムに関する研究開発を、紀伊半島栗平地区や那智勝浦地区で行っています。
また既に昨年8月11日より、御坊市丸山区自主防災会の依頼にて地域を流れる斎川にLoRaWANを使った水位計を設置。御坊駅前のホテルグリーンヒルの御協力を得て受信機を設置し、運用を行ってきました(図3)。

図 3 斎川に設置済の水位計
今回、森礼子和歌山県議会副議長の御仲介により、内水災害が特に心配される西山東地区の連合自治会から和田川・前代川への複数個の水位計の設置を依頼され、今後設置が進むと思われるこれら自助 / 共助型の水位計システムとして、実証実験の実施を行う事を決めました。設置費用は全体で数十万円以下と格安で、運用費用はほぼ無料(和歌山信愛女子短期大学のインターネット回線を使ってショートメール程度のデータを送る費用だけ)です。また太陽電池内蔵で、数年にわたりメンテナンスフリーで稼働が可能と考えられています。
同様の取り組みは全国各地でも始まっていますが、設置費用(今回のシステムでは数十万円)の工面や、設置申請の進め方など、多くの課題を抱えています。そこで今回は先行事例として、設置に当たって和歌山県・和歌山市の御協力も戴きながら設置運用を進めおり、今後はモデルケースとして全国各地に紹介を行っていく予定です。また和歌山大学では和歌山信愛女子短期大学と協力し、これら住民設置型の水位計による自助・共助型の防災 / 減災活動の在り方に関しても今後、共同研究を進めて行く予定です。

図 4 西山東地区での水位計設置予定
<今後の設置予定>
西山東地区では今後、前代川(和田川合流地区)や吉札排水ポンプ場近くでの水位計設置を予定しています。水位データは地域住民がWEB等で閲覧可能であり、また住民が設定した警戒水位を超えた場合には、LINEやメールにて通知を受けることが出来ます。

図 5 和歌山市内でのLoRaWAN受信局の設置状況と通信状況
右上は信愛女子短大での設置箇所。左下は国内で唯一試験導入されている、欧州LACUNAスペース社のLoRaWAN通信用リレー。今春以降から本格的に運用を開始予定。
また和歌山市内でのLoRaWAN受信局の設置も栄谷地区(和歌山大学)、加太地区(和歌山大学)、民間企業(株式会社BEE、和歌山エコライフ株式会社)にて、さらに御坊市の民間企業(ホテルグリーンヒル)、印南町の民間企業(株式会社石橋)でも進められており、特に和歌山市加太地区では海水温情報の取得や漂着ゴミの調査、イノシシ罠の監視などへの利用計画も進んでいます。

<和歌山大での展示室>
LoRaWANに関しては、和歌山大学の常設展示室でも御視察頂けます
研究についてのお問い合わせ先】
国立大学法人和歌山大学災害科学・レジリエンス共創センター
TEL 073-457-8505 mobile 090-8177-3076 (担当教員:秋山演亮)
FAX 073-457-8535 e-mail akiyama@wakayama-u.ac.jp

*NHKのテレビニュース取材で水位計の説明をする秋山教授

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NHKニュース: 住民が手軽に扱える水位計設置
*補足資料
The Things Conference2020参加レポートは、アールエスコンポーネンツ社ユーザーサイト DesignSparkで投稿させていただきました。 ご参考まで。

世界最大のLoRaWANカンファレンス「The Things Conference 2020」レポート(前編)
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https://www.rs-online.com/designspark/thethingsconference2020-jp
世界最大のLoRaWANカンファレンス「The Things Conference 2020」レポート(後編)
↓↓↓↓↓↓
https://www.rs-online.com/designspark/the-things-conference-2020-2-jp
*The Things Conference 2020 After Movie
以上
右下の字幕オプションで日本語を選択してご覧ください!
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Johan Stokking (左 The Things Network TECH LEAD=CTO)とWienke Geizeman (右 The Things Network CEO)

*工学社新刊本リンク先
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https://www.kohgakusha.co.jp/books/detail/978-4-7775-2043-5
*The Things Network販促カタログ
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http://www.crijapan.jp/TTN_catalog.pdf
■Dragino LoRaWAN Gateway & Sensor Node



Dragino LoRaWAN商品の詳細は下記までお問い合わせください。
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What is The Things Industries? from The Things Industries on Vimeo.

The Things Industriesサイトはこちらから....
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https://www.thethingsindustries.com

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