2016-02-24 (Wed)
4年程前、カナダ製組み込みデータベースエンジンのマーケティングを手掛けた経験から、GoogletがAppleより先んじてGoogle Walletをリリースしたにもかかわらず、何故ビジネスに失敗したか?
それは、Googleが余りある技術力や資金力からGoogle自身が決済サービスを提供する「イシュアラー」になろうとしたから?ではないかと推察します。
当時、米国Verifone社にライセンス供給していたカナダの組み込みデータベースエンジンですが、ほぼ全てのVerifone社の決済端末に内臓されていました。 Google社が、最初に採用したGoogle Wallet専用モバイル決済端末は、Verifone社でもあったのです。
Google Walletの仕組みは、Apple Payとは違い、カードブランド会社が提供する決済インフラまでカバーしていて、米国では、特に小売大手であるWal-Martや大手クレジットカード会社が中心となってGoogle Wallet戦略を批判し、抵抗勢力となるべくGoogle Walletと同じような会社「ISIS」を作ったのです。 その後、「ISIS」は名称がイスラム国と類似していたため、「Softcard」という社名に変更されました。【Googleは、その後戦略を変えAndorid Payをリリースしている】

*Verifone社のモバイル決済端末はApple PayおよびAndroid Pay双方対応済
米国のそうした状況は、当時Verifone社経由で聞いていました。簡単にいえば、Googleは他人のフィールドにずかずかと入ってくる戦略をとったのです。 それが反感を招き、ビジネスの失敗原因となったのだとおもいます。
このGoogle Walletの失敗をきちんと学習し、改善したたのがApple Payではないかと私は感じています。 背景には2014年に米政府が容認したEMV準拠のICカード機能付きクレジットカードを強制的に使うという法制化もあるかもしれません。
先週から大陸でApple Payがサービスローンチされました。既に大陸のモバイルペイメント市場は、AlibabaやTencentの提供するモバイルペイメントサービスが普及している状況です。Apple Payが大陸でどれだけ普及するか? 今後のモバイルペイメント市場動向を見守る価値はあると思います。
オムニチャネルやビーコンをつかうo2oサービスとは、ユーザーの利便性からモバイルペイメントへ連携していくでしょう。 これは小売業界だけでなく、さまざまな業界に普及する可能性を秘めています。 そこで簡単にApple Payを整理したいとおもいます。
*Apple Payは決済サービスでなく、Walletサービス!

オースチンで開催されたSXSWにおけるCapital Oneのカンファレンスから。Apple PayによりAppleは、決済総額の0.15%を手数料として得ることになる
Apple Payが決済サービスだと誤解する向きもあるが、より正確には「Walletサービス」である。Appleはクレジットカード/デビットカードの発行は行なわない。提携する銀行や金融機関の発行したカードを電子的にiPhoneへと収納して、トークナイゼーションと呼ばれる決済情報のトークン化と、Touch IDによる本人認証を付加する。これによりカード決済をよりセキュアに行なう。これがApple Payの仕組みである。
*カード会社が泣いて喜ぶApple Pay

* 現在のiOSでは、Passbookという名称からWalletに変更されている。
実はカード情報を代替するトークンの仕組みはApple独自のものではない。Apple Payでは Visa,、MasterCard、 American Expressのカードが使えるとロゴが見せられていたが、元々それぞれのカードブランドが展開を準備していたセキュリティ向上のための施策なのである。
加えて、本来その代替トークンはクレジットカードのICチップに埋められ(厳密にはカードのICチップに埋められている情報とApple Payで用いられるトークンは異なるものである)、レジの端末にかざしたり、挿し込んだりすることで決済が可能になるものだったのだ。つまり、Apple Payによる決済を受け付ける端末は既にカードブランドが準備していたものを使うのだ。
カードブランドはApple Payの普及とともに、自ら準備していた端末が世に広がり不正利用の抑制が実現され、自分たちが準備してきた仕組み以上に不正利用に強い決済方法が利用されるのだから、泣いて喜ぶに決まっている。
*トークナイゼーションについて

加盟店などのデータベースを修正しなくても、従来のカード番号と同じように扱うことができる。さらに、数字だけを扱えばいいのでプロセッサの負担が少なく、決済ネットワーク全体の動作が軽快になる。特に大きいのがPCI DSSの審査対象外となることだ。トークナイゼーションの実際のインフラなどは提携するAmerican Exprrss、Mastercard、VISAなどのクレジットサービス会社が構築してきた。
*PCI DSSとは?
加盟店やサービスプロバイダにおいてクレジットカード会員データを安全に取り扱う事を目的として策定された、クレジットカード業界のセキュリティ基準です。Payment Card Industry Data Security Standardsの頭文字をとったもので、国際カードブランド5社(American Express、Discover、JCB、MasterCard、VISA)が共同で設立したPCI SSC(Payment Card Industry Security Standards Council)によって運用、管理されています。
Apple Payはこのインフラを使って、対面決済におけるNFCによる非接触の支払い方法を実現する。ユーザー向けにわかりやすくApple Payという名称が使われているが、バックグラウンドではこれらのクレジットサービスのexpress pay、PayPass、pay Waveが利用されている。
*JCBのポジション

「日本で唯一のカードブランドであるJCBがApple Payの対応に遅れることが心配です」と瀬田氏は続ける。JCBは国際ブランドであり、イシュアであり、アクワイアラでもあるという珍しい形態のカード会社。そのため、オンアス取引比率が大きく、カード会社としてはきわめて“強い”企業だった。消費者の安全性を考え、EMVにも積極的に取り組んできた。これはカード会社として正しい施策だ。
しかし、Apple Payへの対応という観点から見ると、すべてが裏目に出てしまうことになる。オンアス取引の減少、すでにEMVによりセキュリティは確保済み、そしてトークナイゼーションへの対応への難しさ。
注記:オンアス取引は、クレジットカード発行者(イシュアー)と加盟店契約会社(アクワイアラー)が同じ会社である場合の取引のことをいいます。 例えば、ある人が○○カードを使い、宝石店でネックレスを買った場合、その宝石店が○○カードの加盟店であれば、オンアス取引となります。
追記:既に米国PayAnywhere低価格Apple Pay対応カードリーダー展開中!
それは、Googleが余りある技術力や資金力からGoogle自身が決済サービスを提供する「イシュアラー」になろうとしたから?ではないかと推察します。
当時、米国Verifone社にライセンス供給していたカナダの組み込みデータベースエンジンですが、ほぼ全てのVerifone社の決済端末に内臓されていました。 Google社が、最初に採用したGoogle Wallet専用モバイル決済端末は、Verifone社でもあったのです。
Google Walletの仕組みは、Apple Payとは違い、カードブランド会社が提供する決済インフラまでカバーしていて、米国では、特に小売大手であるWal-Martや大手クレジットカード会社が中心となってGoogle Wallet戦略を批判し、抵抗勢力となるべくGoogle Walletと同じような会社「ISIS」を作ったのです。 その後、「ISIS」は名称がイスラム国と類似していたため、「Softcard」という社名に変更されました。【Googleは、その後戦略を変えAndorid Payをリリースしている】

*Verifone社のモバイル決済端末はApple PayおよびAndroid Pay双方対応済
米国のそうした状況は、当時Verifone社経由で聞いていました。簡単にいえば、Googleは他人のフィールドにずかずかと入ってくる戦略をとったのです。 それが反感を招き、ビジネスの失敗原因となったのだとおもいます。
このGoogle Walletの失敗をきちんと学習し、改善したたのがApple Payではないかと私は感じています。 背景には2014年に米政府が容認したEMV準拠のICカード機能付きクレジットカードを強制的に使うという法制化もあるかもしれません。
先週から大陸でApple Payがサービスローンチされました。既に大陸のモバイルペイメント市場は、AlibabaやTencentの提供するモバイルペイメントサービスが普及している状況です。Apple Payが大陸でどれだけ普及するか? 今後のモバイルペイメント市場動向を見守る価値はあると思います。
オムニチャネルやビーコンをつかうo2oサービスとは、ユーザーの利便性からモバイルペイメントへ連携していくでしょう。 これは小売業界だけでなく、さまざまな業界に普及する可能性を秘めています。 そこで簡単にApple Payを整理したいとおもいます。
*Apple Payは決済サービスでなく、Walletサービス!

オースチンで開催されたSXSWにおけるCapital Oneのカンファレンスから。Apple PayによりAppleは、決済総額の0.15%を手数料として得ることになる
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/feature/20150613_706743.html
Apple Payが決済サービスだと誤解する向きもあるが、より正確には「Walletサービス」である。Appleはクレジットカード/デビットカードの発行は行なわない。提携する銀行や金融機関の発行したカードを電子的にiPhoneへと収納して、トークナイゼーションと呼ばれる決済情報のトークン化と、Touch IDによる本人認証を付加する。これによりカード決済をよりセキュアに行なう。これがApple Payの仕組みである。
*カード会社が泣いて喜ぶApple Pay

http://jp.techcrunch.com/2015/03/20/what-apple-pay-really-means/
* 現在のiOSでは、Passbookという名称からWalletに変更されている。
実はカード情報を代替するトークンの仕組みはApple独自のものではない。Apple Payでは Visa,、MasterCard、 American Expressのカードが使えるとロゴが見せられていたが、元々それぞれのカードブランドが展開を準備していたセキュリティ向上のための施策なのである。
加えて、本来その代替トークンはクレジットカードのICチップに埋められ(厳密にはカードのICチップに埋められている情報とApple Payで用いられるトークンは異なるものである)、レジの端末にかざしたり、挿し込んだりすることで決済が可能になるものだったのだ。つまり、Apple Payによる決済を受け付ける端末は既にカードブランドが準備していたものを使うのだ。
カードブランドはApple Payの普及とともに、自ら準備していた端末が世に広がり不正利用の抑制が実現され、自分たちが準備してきた仕組み以上に不正利用に強い決済方法が利用されるのだから、泣いて喜ぶに決まっている。
*トークナイゼーションについて

http://gmba.jp/2015-02-19-15-20-41/opinions/3515-mobilepos-24.html
加盟店などのデータベースを修正しなくても、従来のカード番号と同じように扱うことができる。さらに、数字だけを扱えばいいのでプロセッサの負担が少なく、決済ネットワーク全体の動作が軽快になる。特に大きいのがPCI DSSの審査対象外となることだ。トークナイゼーションの実際のインフラなどは提携するAmerican Exprrss、Mastercard、VISAなどのクレジットサービス会社が構築してきた。
*PCI DSSとは?
http://www.jcdsc.org/pci_dss.php
加盟店やサービスプロバイダにおいてクレジットカード会員データを安全に取り扱う事を目的として策定された、クレジットカード業界のセキュリティ基準です。Payment Card Industry Data Security Standardsの頭文字をとったもので、国際カードブランド5社(American Express、Discover、JCB、MasterCard、VISA)が共同で設立したPCI SSC(Payment Card Industry Security Standards Council)によって運用、管理されています。
Apple Payはこのインフラを使って、対面決済におけるNFCによる非接触の支払い方法を実現する。ユーザー向けにわかりやすくApple Payという名称が使われているが、バックグラウンドではこれらのクレジットサービスのexpress pay、PayPass、pay Waveが利用されている。
*JCBのポジション

http://gmba.jp/2015-02-19-15-20-41/opinions/3506-apple-pay-3-3.html
「日本で唯一のカードブランドであるJCBがApple Payの対応に遅れることが心配です」と瀬田氏は続ける。JCBは国際ブランドであり、イシュアであり、アクワイアラでもあるという珍しい形態のカード会社。そのため、オンアス取引比率が大きく、カード会社としてはきわめて“強い”企業だった。消費者の安全性を考え、EMVにも積極的に取り組んできた。これはカード会社として正しい施策だ。
しかし、Apple Payへの対応という観点から見ると、すべてが裏目に出てしまうことになる。オンアス取引の減少、すでにEMVによりセキュリティは確保済み、そしてトークナイゼーションへの対応への難しさ。
注記:オンアス取引は、クレジットカード発行者(イシュアー)と加盟店契約会社(アクワイアラー)が同じ会社である場合の取引のことをいいます。 例えば、ある人が○○カードを使い、宝石店でネックレスを買った場合、その宝石店が○○カードの加盟店であれば、オンアス取引となります。
追記:既に米国PayAnywhere低価格Apple Pay対応カードリーダー展開中!
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